この話をいただいたのは先日行われた合宿の時のことです。 「我が時代」を書いてみたいという気持ちが前からあったのですが、いざ書くとなると書きたいっことが多すぎてなかなか難しいものです。同期にもいってないこともありますが、もう過去のことなので赤裸々にすべてを書こうと思います。
失礼します。68期で短距離をやっていた八重樫です。私は高校三年まで多くの場面で様々な体験をし、時には喜んだり、時には苦悩したりしました。その経験は私をより成長させてくれました。私自身の成績は決していいものとは言えませんが、桐朋での陸上を通して多くのものを得ることができました。それは部員からの刺激が大きかったからこそだと思います。 そこで、この場で何名かの名前を挙げながら、彼らから得られた私の財産について書こうと思います。(以下敬称略)
彼は根っからのまじめで、たまにうっとうしいこともありましたがいつも自分より周りを優先して行動してくれる人です。また中高ともに関東以上まで行ったのは本当に尊敬するところです。 彼との一番の思い出は全中を四継で決めた通信大会のことです。レース直後のアナウンスでは僕たちは優勝してないとのことでした。私は痛哭していましたが、彼はずっと「大丈夫」と私に言い続けてくれました。その後、判定が変わって一位であることが分かった時は目標にしていた全中に行ける嬉しさもありましたが、同時に彼から努力とそれから起こる自信を持ち続けることの大切さを教えてもらいました。この経験は陸上だけでなく受験にも生かすことができました。
68期は中高通して個性がとても強い集団でした。部活としてまとまるには中々厳しいメンバーではありましたが、そんな中、カリスマ的なリーダーシップを発揮したのが彼でした。彼が部員をまとめてくれたからこそ都総体総合優勝があったと思います。この総合優勝は競技力だけでなく、団結力があったからこその優勝でした。 しかし、彼が留学で部活を抜けてしまったことは私たちにとっては痛手でした。 彼並みの統率力は努力して補えるものではありませんでした。高校では確かに思わしくないになってしまいましたが、陸上を通して彼のような人間に会えたことは僕の大きな財産です。
彼は棒高の選手であり、棒高が本当に好きでした。僕はなんとなくできるというより、理論と実践を重視し、反復練習をしていろいろなものを身に着けました。そして彼も同じ部類の人間だったと思います。ビデオをとって研究して反復練習する。当たり前のことかもしれませんが実践できる人はなかなかいません。私自身も彼ほど実践できず、この差が結果に表れたと思います。彼もまた留学で部を抜けてしまいましたが、最後までやっていたら確実に桐朋記録は塗り替えられていました。 彼の練習に対する取り組みは本当にお手本であり、今でも私は参考にしています。
僕が唯一、一生かけても勝てないと思った人でした。彼は特にポテンシャルが高いわけでもないですし、中野のようにとてもまじめなわけではないです。ではなぜ自分がこのように思うか。それは彼が凄まじい勝負強さ・勝負勘を持っているからだと思います。 いざという時・負けられないときにはしっかり記録を残すのが彼でした。全中を決めた時、全中で準決を決めた時、400で50秒を切った時、すべて彼は勝ち切ってきました。 このような試合での強さゆえに僕はいくら頑張っても勝てない気がしました。 しかし、ただ何もしないで負けるのは嫌だったので、練習では彼に勝てるようにしましたし、試合でも彼と争えるような記録を残そうとも思えましたし、彼の存在が自分のモチベーションにもなりました。
私は6年間を通して多くのライバルに会うことができ、競い合うことができました。その中で自分の限界を知ることがありましたが、それでも私なりに限界まで努力する大切さも学びました。このことは大学での競技生活に大きな恩恵をもたらしてくれています。
上記の四人以外にも、多くの部員・顧問の先生・OBの方から多くの刺激をもらったことで中学から高校三年まで続け来られました。また、このような個性の多い友人に囲まれ、自分の価値観が変わったことはとても大きな財産です。時には周りの性格が多様すぎることに困惑もしました。しかしそのような環境に慣れたこと・受け入れられたことで、より多くの人と交流することができ様々な体験をすることができます。そしてそのつながりは卒業後も続いています。私はいま神戸大学に通っていますが、関西には全く無縁なので中々慣れませんでしたが、幸運なことに私のほかに三人も関西圏の大学に進学したため、彼らは僕にとってかなり心強い存在となっています。またその中には陸上を続けている者もいて、対抗戦や記録会で会い、走っているのを見ると自分のモチベーションにもなります。
最後に、現役部員の皆様には、ありきたりではありますが部活の友人を心から大切にしてもらいたいと思います。彼らからは部活の時も、引退してからもいい影響を与えてくれることでしょうし、いい友であり続けるでしょう。これから都大会の予選が始まると思いますが、周りに流されず自分なりの全力をまずは尽くしてください。結果は自ずとついてきます。また周りもしっかり応援してください。私を含めOBは君たちの記録を楽しみにしています。全力で目の前のレース・跳躍に立ち向かってください。
長文となりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます。